碁盤の人工乾燥の材について

碁盤の人工乾燥の材について01

中国産の材を中心に人工乾燥の材が多数流通しています。人工乾燥の材は短時間で材を乾燥できる利点があります。これにより本来なら数年から十数年乾燥させる期間を大幅に短縮させ出荷できます。

しかし、短時間で乾燥することにより材の内部組織が乱されてしまいます。これは急激に水分を抜くことから本来割れるべき部分以外の想像できぬ箇所に裂け目ができ、水分等を放出します。

そのため盤として音響(打ち味や指し味)といった打ち音が一定の音ではなく場所によってバラつきがあります。これは表面(目に見える部分)などに亀裂等がなく制作しても、材の内部には大きな裂け(割れ)や爪で押しつけたような小さな裂け(割れ)が残るからです。ネット上に販売、出品されている中国産の材の碁盤の大半にヒビが入っているのはそのためです。

また、人工乾燥の材で制作した碁盤は最初の数年は見映えよいのですが、年数が経つにつれ芳香性・色・艶などが薄れ、木目は紫外線等に焼けやすく、木肌はざらつき、触感の変化などが表れてきます。

このことから人工乾燥を用いた材で制作したものは日本産、中国産、アメリカ産のどんな素晴らしい盤であっても、銘盤として評価されることは難しくなります。

特に中国産の大半は人工乾燥の材です。しかしあえて人工乾燥とは明記されていません。それは暗黙の了解で人工乾燥と判断して良いでしょう。

碁盤を購入したら数十年使うという方がほとんどです。人工乾燥の材は木取りが良いもの(天地柾、天柾など)が多く見た目が映えていながら自然乾燥の材に比べとても安価で購入できます。しかし長い目でみると自然乾燥の材を購入される方が安心してご使用いただけます。

どちらにも長所短所がありますので上記の事情をご理解の上、どちらの材の碁盤をご購入されるかご自身でご判断下さい。

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